僕の恩人五人衆の一人である原田佳夏さん脚本の舞台『四月の魚 POISSON D'AVRIL』を観劇しました。
プレゼンテーション資料「NECのブランドと、僕のブランディング」より
原田佳夏さんは、入社当時に出会った恩人です。
当時、僕はワープロの商品企画を担当しており、友人から「何の仕事をやっているの?」と聞かれた際は、いつも「僕はワープロを作っています」と答えていました。
そんな時、大手家電量販店でワープロの販売をヘルパーとして対応していた時に接客させていただいたのが原田さんでした。
新しいワープロを購入検討されていた原田さん。僕の説明をうなづきながら聞いてくださり、最終的に、僕らの作っているワープロを購入してくださいました。
その時に、原田さんからプレゼントしてもらったのが、原田さんが脚本した舞台のチラシでした。後日、舞台を観劇して、感動しました。
舞台の内容に感動したのはもちろんのこと、僕らが作ったワープロを使って原田さんが脚本を書かれている。そして、その脚本を通じて、舞台が作られている。
それまでの僕は「(仕事で)ワープロを作っています」と答える日々でしたが、ワープロの先にある世界を実感し、それまでの仕事観が変わりました。
「商品やサービスの、その先に」を感じながら仕事をするようになりました。
このような世界観を教えてくださった原田さんは、本当に恩人なのです。
僕の人生そのものを脚本してくださったのかもしれません(笑)。
前置きが長くなってしまいましたが、今回、観劇した原田佳夏さん脚本の舞台『四月の魚 POISSON D'AVRIL』。
場所は、阿佐ヶ谷の「名曲喫茶ヴィオロン」。
とっても、雰囲気のあるお店。この空間で舞台が始まるのかと思うと、自然と気分が高まります。だけど、なんか厳粛な場所。
舞台の前に、ドリンクサービス。僕はオレンジジュースをオーダー。
他の方々はコーヒー。紳士なウェイターの方がコーヒーをオーダーした方に「ミルクを入れますか?それとも、ブランデー?」と聞き、「ブランデーを」という返事。そして、ウェイターの方がコーヒーにブランデーを数滴注ぐ仕草もオサレ。
このやりとりだけでも酔いしれてきました (*´∀`*)
そして、いよいよ舞台が始まりました。
カフェのオーナーと、そこに集まるお客さんの物語。
そこに、なぜか、オーナーを浦島太郎だと思う乙姫様と亀が登場し、浦島太郎が帰ってからの1400年の時間を埋めようとする。もちろん、オーナーは、自分が浦島太郎という認識はない・・・という感じで始まりました。タイトルにあるようにエイプリルフールの出来事かもしれないし、そうでないかもしれない。
そうそう、原田さんの舞台は、いつもユーモアに溢れているんです。笑いに溢れる空間で、その場を楽しみつつ、リラックスしながら舞台を通じたメッセージを考えられるのです。舞台の敷居を下げてくださる原田さんのおもてなしや優しさを、いつも感じてしまうのです。
観終わっての感想。
舞台を通じて、ちょうど今、自分自身が感じていることを直視したからもしれませんが、「忘却」について考えさせられました。
人にとって「忘れること」「忘れないこと」が大切な一方、時が経つと、それが切なくもなることを感じた作品でした。
誰にとっての「忘却」なのか。
自分が忘れても、誰かは覚えている。自分は覚えていても、相手は忘れている。
その不一致を受け止めながら、自分と相手を受け止める難しさと優しさ。
新しいことを始める、新しいことが始まる4月に、この作品を観劇できて、よかったです。
新しいことを始めるにあたって「忘れること」「忘れてしまうこと」「覚えておくこと」を意識しながら、新年度を過ごしていくようにします。
今回もステキな作品をありがとうございました。
それにしても、いつ、僕は恩返しできるんだろう?
最後に、原田佳夏さんの著書『脚本を書こう』もオススメです。
脚本家を目指していない方々も、きっと感じることがある一冊です。
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