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2012年11月19日月曜日

『ビジネス寓話50選〜物語で読み解く、企業と仕事のこれから〜』(博報堂ブランドデザイン著)

博報堂ブランドデザインさんによる『ビジネス寓話50選~物語で読み解く、企業と仕事のこれから~』。
チャレンジプロジェクトで知り合いになったボヴェ啓吾さんの著書。

企業と生活者の立場が「B to C」から「B with C」に変化。さらに、リーマンショックや311東日本大震災以降、価値観の再定義が進み、繋がった個々人が自ら動いて社会デザインに参画するようになってきた最近、「B with C for Social」を掲げてマーケティング活動を推進していますが、改めて、この方向性でアプローチすることの確からしさを再確認できた一冊でした。ありがとうございました!


<気になった内容>

大きな岩を先に入れろ。ビジネスにおける大きな岩は、ビジョン、コンセプト、コアアイデア。
●「企業には是が非でも成長しなければならない必要などない。だが、企業は是が非でも成長したいと思ってしまうのだ」(経済学者ミルトン・フリードマン)
●斧を研ぐことを疎かにした木こり。斧を研ぐ取り組み例。グーグル社の20%ルール、博報堂ブランドデザイン社の「6・2・2ルール」。6割を通常業務、2割をチーム維持の作業、残り2割を自分が興味を持っているテーマをビジネス化する取り組み。
●小さな賭けで済む内に勝負をたたみかけ、小さな勝利を積み重ねることで最終的な大きな目標を達成する。
難題に挑む時は多様性のあるチームを組む。自分が多様性ある価値観や技術を習得するのではなく、多様性あるメンバーを揃えればいい
●現在の延長線上の未来は「予測(forecast)」、非線形の未来は「予見(foresight)」。不確実性の高まった21世紀には予見が求められる。
●手段と目的の混同に気をつけること。商品やサービスの購入自体が、人の目的になることは基本的にない。人は何らかの目的を達成するために、なんらかの感情・体験を得るために、その手段として商品やサービスを購入する。
●「生活者に直接訊ねる」ことの限界。「もし消費者に“何が欲しいですか?”と訊ねていたら、“もっと速く走れる馬を”と言われただろう」(ヘンリー・フォード)。生活者自身も自覚していないツボを、現場での行動を徹底的に観察することで見つける「エスノグラフィ」「エスノビジョン」。
●ある問題の解決に取り組む際、その取り組みが影響を及ぼす「空間的な広がり」と「時間的な広がり」を考慮すべき。この広がりへの想像力が求められる。
「誰かを助けること」がビジネスの本質である。
企業の究極的な存在意義は人々の幸せをつくること。企業は生活者に幸せを与えるのではなく、生活者と一緒に幸せをつくるという対等な関係性。
マーケティングとは“意志”である。市場を調査すれば明確な正解がそこに見つかると思いがちだが、そこに表れる現実というデータをどう捉えるかは、最終的にはそれを見る人の意志に依る。
同一のフレームの中での差別化は、結局のところ、同質化に向かう。今、求められているのは、これまでのフレームに囚われない発想による新しい「市場そのものの創造」。
●小さな妥協が重なれば、理想や夢は叶わない。
●なにかの成果を得るためには、自分の主張や思いつきを我慢して、人の言葉に耳を傾ける「傾聴」の姿勢が大切
「知らない」なら「知ろうとする」こと。「知っている」なら「疑う」こと。
●“競争”から“共創”へ。
日本は課題先進国。日本が抱えている課題の多くは、近い将来、中国やインドがより大きな規模で突入していく課題。
●ブランディングは、企業に、商品に素敵な「意味」を与えること。
●組織も、ブランドも、ある一つの部分なり、性格なり、特徴なりというものは、全体と共に育ち、全体と関連し合って存在している。ある部分だけを都合よく改善なんてできない。
●情報過多の現在、自分の仕事の本質を把握し、そこに足りないものは他の人に頼るという「人まかせビリティ」の能力が重要。
●×の中には、実は例外的な○が潜んでいて、それを掘り起こして、シンボライズし、増殖させる。「彼らは例外だから」と思考の外に置かず、「ポジティブ・デビアント=よい方向に逸脱した人」と捉える。
●「独創性を持った人材を採用する」「創造力を持った人間を重視する」なんていう曖昧な採用方針や人事システムでは、真に創造的な組織を作るのは難しい。「違うヤツ」「おかしなヤツ」「間違っているヤツ」を選び評価すれば、組織も多様性や意外性を身につけることができる。
●「ブスの25箇条」。想像もつかないような成果は、想像できる範囲からは生まれない。
相手も変わり、自分も変わるのが「創発」、それ以外は全て「ハラスメント」。
アイデアとイノベーションとの間には、天と地ほどの道のりがある。アイデアを生み出すという容易な仕事と、実際にイノベーションを達成するという恐ろしく困難な仕事の違い。
●ある程度以上の大きさの組織になると、メンバー同士やセクション同士で、お互いに何をしているのかが把握できなくなることがある。その結果、ビジネス活動が非効率的になったり、組織としての求心力が失われたりすることもある。その時の拠り所がブランドやビジョンである。
●自社ブランドと競合ブランドなど、ビジネスには様々な「立場」が存在し、駆け引きが生じるが、大きな視点で見ると、一緒に新しい価値を創出している仲間と捉えることもできる。
●何もしなくても勝手に人が集い、勝手に盛り上がってくれる、なんてことはない。まずは主宰者の意志を示し、主宰者自身が楽しんで行動を起こす必要がある。「この指止まれ型リーダーシップ」が必要。
●今、ビジネスの世界で起こっている変化が「本質や普遍への回帰」を軸にしている。
●リーマンショックや東日本大震災といった衝撃が加わり、無限の拡大と成長を前提にしてきた社会の構造や生活のあり方を、「そもそも」の視点に立って見直そうという機運が高まっている。
●キーワード1「スピリッツ」を持つ
 スピリッツとは、企業や人が単なる経済合理性を超えて持つ「自分は何者か」「なんのためにあるのか」という確信のこと。
●キーワード2「共創する」。
 企業は顧客と向き合い、お互いが見つめ合うことを目指すのではなく、企業が掲げるスピリッツに共感してくれる顧客を仲間だと捉え、その同じ目的・未来を「共にみる」存在になること。
●キーワード3「とらわれない」。
 成功体験などの過去、無意識、立場、自己評価などに囚われないことが大切。


<構成>

第1章「はたらく」
第2章「売る」
第3章「つくる」
第4章「動かす」
第5章「つながる」
終章「50の寓話から見えてくるもの」


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