ポレポレ東中野で上映されている映画『A2-B-C』。
日本在住のアメリカ人監督イアン・トーマス・アッシュがカメラにおさめた“フクシマ”。
311東日本大震災から3年が経過。『美味しんぼ』での鼻血問題がニュースに採り上げられたものの、知識の乏しさから良し悪しの判断さえできない自分自身に憤りというか哀しさを感じ、偶然にも知った『A2-B-C』を観に行くことに。
(関連記事)
The Huffington Post
「美味しんぼ」の鼻血問題:敵を見誤ってはいけない (映画監督:舩橋淳さん)
http://www.huffingtonpost.jp/atsushi-funahashi/oishimbo_b_5313031.html
子供の甲状腺がんの異常発症など、被ばくの影響がはっきりと出ているケースは現在進行形として存在し、僕たちは噂を広めることなく、事実だけを見つめ、それを抑圧・黙殺するのではなく、"予防原則"で対策を講じてゆくことが大事なのではないだろうか。
山岡士郎の鼻血イメージばかりをネットで拡散することこそ、状況を悪化させ、福島を貶めることに繋がる。それこそ風評被害であり、僕らは何が実害で、何が風評被害なのか、現実だけを直視する目を磨かなければいけない。
観終わっての感想は・・・、やっぱり、自分自身の知識の乏しさを再認識し、何もできない自分への哀しさでした。
甲状腺がんになる可能性は低いのかもしれない。だけど、自分の子どもを想う親にとっては頭で理解しようとしても心では理解できない。今は大丈夫かもしれないけど、将来、いや、明日、甲状腺がんが発症するかもしれない。もしかしたら、「甲状腺がんになる可能性は低い」ということ自体が正しくないかもしれない。川崎市立井田病院 西智弘先生が仰っていた「真実であっても、相手の気持ちに届かなければ真実にはならない」という言葉を思い出した作品でした。
こんな今の僕に唯一できるのは、自分自身が忘れないために、今の気持ちを残すこと。これからも“事実”を知り続けること。現在進行形で結末もないドキュメンタリーだった故に、考えさせられる作品でした。
<印象に残ったシーン>
- 監督が小学生に質問。「この作品はドキュメンタリーだけど、仮にフィクションの映画だったら、どのような結末を望む?」「福島に自然が蘇って、みんなが安心して暮らせる姿」
- 311東日本大震災から2年半経過時点での高校生へのインタビュー。「今、一番、恐れていることは?」「みんなが311東日本大震災を忘れかけていること。被曝しても身体に異常がなかったから、みんな大丈夫だと思い、問題意識自体がなくなりつつある。」
- ママたちの涙ながらの訴え。「色々な機関が問題ないと言うけれど、放射線量が基準値を超えているのは事実。ヒステリックだと思われるかもしれないけど、誰かが言い続けないといけない。素直に怒りを表現してもいいはず。今、怒りを表現しないで、いつ表現するの?」
- 無断で小学校を取材する監督と、小学校の教頭先生のやりとり。「勝手に取材されると大問題なんだ」「小学校の問題と、子どもの健康、どちらが大きな問題ですか?」「“ウチの”小学校にとっては大問題なんだ」
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